米中貿易戦争で日米企業選ぶ移転先、ベトナムの優位性は

米中貿易戦争で日米企業選ぶ移転先、ベトナムの優位性は

比較的良好なインフラ、豊富な労働力、労働者の英語力など、タイ、マレーシア、インドネシアなどの国々がアメリカや日本の企業が選ぶ新規投資先として好まれている。

■ベトナムの輸出ベースの成長はメキシコに近似

「2019年経済報告」の発表で、経済・政策研究センター(VEPR)は、ここ十数年、ベトナムの輸出入拡大はベトナム経済により良い影響を与え、ベトナムのGDP成長率の増加に大きく貢献してきたと評価した。実際にベトナムの雇用問題を解決し、外貨準備高を増やし、国民の生活改善に大きく貢献している。

しかし、VEPRはベトナムの輸出に頼った貿易の成長モデルは、まるでメキシコの後を追っているようだと述べた。メキシコは多くの他国籍企業の生産の中心地になってはいるが、国内産業が発展せず、給与も低いままだという。

同報告には「メキシコは、まだ成功したとは言えない。GDPの成長速度は遅く、労働生産性にも変化は見られず、全要素生産性(TFP)はマイナスである。ベトナムでは、生活水準が向上し、労働賃金の安さという強みは将来失われていくと予想されている。加工・組立産業の波はいずれ他国に移り、その結果失業リスクだけが残るだろう」との分析結果がある。

VEPRによると、ベトナムにとってより良いシナリオは、加工・組立産業を、国内の能力開発と国家工業基盤に関連させる戦略を立てることだという。この戦略は、製品、製造プロセス、機能の向上を含む、バリューチェーンの全面的な向上の一助となる。

VEPRの評価によると、現在の成長モデルと世界的なバリューチェーンにおけるベトナムの立場から、経済に対するリXクが2つのシナリオで発生する可能性があるという。

最初のシナリオは、多国籍企業がよりレベルの高い労働力を探すため、または顧客の近くに生産工場を建設するためにベトナムを離れることだ。

2つ目のシナリオは、各企業が生産プロセスを自動化することで、特に単純労働などに従事する労働者など、多くの失業者を出す可能性がある。

1つ目のリスクは発生する可能性は低いが、2つ目のリスクについては、避けては通れないのかもしれない。こうした背景もあり、ベトナムにとって労働者の技術開発・技術向上を優先させることは非常に重要なことだといえる。

■ベトナムは楽観的になるべきではない

Nguyen Duc Thanh博士は、米中貿易戦争は、ベトナムだけでなく、東南アジア各国にとっても大きなチャンスだという。

同博士は「前世紀の80~90年代の東南アジアの繁栄は、日米貿易摩擦後に訪れました。この貿易摩擦は日本を成長を鈍化させ、円の価値の上昇が、多くの製造企業を東南アジアことを引き起こすのではないかと予測しています。しかし、ベトナムはこの大きな投資の波に、楽観的になるべきではありません」と述べた。

日本やアメリカのような発展した国々は、長期的な投資を好むことから、こうした国々は投資先を選定する前に、投資先について非常に細かいところまで調査を進める。

「こうしたグループに属する国々にとって、ベトナムは1番ではありません。比較的整備されたインフラ、豊富な労働者、労働者の英語力などを見て、タイ、マレーシア、インドネシアなどが選ばれています。ベトナムは、こうした国々のうちの1つに過ぎないのです」と同博士は分析している。

■中国からの投資は増加

こうした状況の中、Thanh博士は、中国からベトナムへの投資は増加していると述べた。中国がベトナムに対して文化的、政治的、地理的な距離の近さを感じていることが主な理由だろう。

同博士によると、ベトナムは外国企業の事業計画に介入することはできないが、日本やアメリカのような質の高い、長期的な投資家を選択することができ、また、環境や社会に対する責任を持った企業を選択することもできる。

「私たちが環境、ビジネス、労働者の条件に寛大であれば、その寛大さに見合う投資家を迎えるだけです。つまり、誰を迎え入れるのかというのは、私たち次第なのです」と同博士は付け加えた。

Thanh博士によると、米中貿易戦争の影響はベトナムの貿易を予測しにくいものにしているという。貿易戦争の影響下で、アメリカが中国製品に高い関税をかけていることから、ベトナムのアメリカ輸出は加速度的に増加している。また中国製品に比べて、ベトナム製品の方が安価であることもあり、アメリカの消費者たちからベトナム製が好まれているという。

一方、中国政府が国内市場の保護政策を実施していることから、ベトナムから中国への輸出は減少している。

「中国は自国に輸入される製品の制限を進める可能性があり、その中にベトナムも含まれています。2018年第4四半期から今日まで、中国への輸出量が大きく減少しています。この減少量は、アメリカ向けに増加した輸出量よりも大きいのです。ですから、アメリカ向けの輸出量が増加しているとはいえ、相対的に見ると、ベトナムの輸出は減少しているのです。将来、アメリカ向け輸出量が、中国向け輸出の減少量を超えて、ベトナムはようやくメリットがあると言えるでしょう」Thanh博士は述べた。

(Motthegioi.vn 5月29日)