ベトナムレディースファッション市場では今後、日本とヨーロッパのブランド競争が激しく繰り広げられるだろう。
■日本ファッションがベトナム市場に
ベトナムへの投資を続けて行く中で、日本企業はベトナムファッション市場において、人々に対してもっとインパクトを与える必要があると考えるようになった。
ベトナムファッションブランド「NEM Fashion」は、長年赤字が続いたことで、日本のパートーナー企業であるStripe Internationalが買収した。
また、2018年、日本のファッションブランドのユニクロはElise Viet Nam(女性ファッション)の株式35%を購入するために数千万ドルを準備していたという。
当時のニュースや情報によると、ユニクロはベトナムでの店舗展開を目的に、Eliseの資本よりも遥かに大きな金額で同社の株式を購入した。現在、ユニクロはベトナムでの店舗展開を目指して、最終準備を進めているところだ。
日本のブランド間での競争も激しくなることが予想されている。
2020年初頭にMUJIもベトナム市場に出店する計画を進めている。MUJIは多様で豊富な商品を提供することに強みを持っており、その中でもファッション部門はベトナム市場において売り上げに大きく貢献する分野になるだろう。
このように日本のファッションブランドが、ほぼ同時期にベトナム市場に進出するという状況で、StripeもNEMを買収してから2年が経っており、このタイミングでベトナム進出のスピードを緩めるわけにはいかない。
日本企業に買収されてから、NEMはホーチミン市の店舗を縮小し、主にハノイでの活動を進めてきたが、今年中に再度ホーチミン市とダナン市に店舗展開を計画している。
Stripe Vietnamの張替勉社長は、Nikkei Asian Reviewで「小さな都市が発展すると、そこにはオフィスが形成されます。そうした場所は、私たちが新しいショップを出すチャンスになると考えています」と話す。
ベトナム市場を見てみると、平均的な収入がある人々にとって、NEMの商品の価格帯は少し高いと感じる。こうしたこともあり、Stripeの計画では、既存の店舗よりも10%ほど安い価格の新ブランドを企画し、中小都市における平均的な収入がある人たちをターゲットに店舗展開していく予定だ。
Stripeは今年度決算期までに、23店舗の店舗を増やし、ベトナムでナンバー1のレディースファッションブランドになることを目標に掲げている。
同社はまた、売り上げでもトップになることを目標としており、今年の収益は30%増の52億円を目指している。また、この目標達成に向けて、Stripeは商品の品質向上のために工員のスキルアップを進めている。
■ヨーロッパブランドとベトナム国内ブランドの状況
このように、数々の日本のファッションブランドがベトナムファッションブランドの買収を進めている中、ヨーロッパのファッションブランドも次々にベトナムに進出・浸透してきている。ZARAやH&Mはすでに多くの集客に成功していることは良く知られている。
あるイタリアの庶民的なブランドも、今年の初めにベトナムに進出している。まだ、ベトナム人にはあまり知られていないが、OVSというヨーロッパでは広く知られた庶民的なブランドだ。
OVSは、イタリアではH&Mのライバルと認知されており、イタリアの0歳から14歳までの衣料品市場で15%のシェアを誇る。
一方、海外ブランドが次々とベトナム市場に参入してきている中、国内ブランドは苦境に立たされている。
Blue Exchange、Ninomax、PT2000、Canifa、Bambooなど国内の若者向けブランドは徐々にその規模を縮小している。特に、Blue Exchangeは全国に200店舗を展開しているが、店舗数を減らしている。
これはベトナム人のブランド志向が理由といえる。
Nielsenの最近の調査によると、ベトナムのブランドにこだわる人の割合は中国(74%)、インド(59%)に次いで世界3位であることがわかった。つまり、若者はあまり国内ブランドには目を向けていないということだ。そうした傾向から、ベトナムではユニクロ、H&M、ZARAなどの海外ブランドが優勢となる下地がある。
■海外ブランドが続々とベトナムに進出する理由
市場研究を手がけるBusiness Monitor International社(BMI)によると、2018年の衣類・靴鞄を含むベトナムのファッション市場は38億ドル規模で、そのうち衣類が35億ドルを占めている。
そして2021年には、ベトナムのファッション市場は47億ドルに拡大すると考えられており、2017年から2021年までに、毎年平均10%成長すると見込まれている。2016年以前の年平均7%の成長に比べると、市場の成長スピードが急上昇していることがわかる。
また、ベトナムは周辺地域各国と比べ、若者の占める人口割合が高い国であることから、今後も海外のブランドを好む傾向は続くと見込まれており、海外ブランドのベトナム市場参入は今後も続くだろう。
Bain & Coの予測では、2025年までに、ミレニアル世代(1980年~1998年生まれ)とコンテニアル世代(1996年~2010年生まれ)が世界中のファッション製品消費の45%を占める巨大な消費グループになると予想されている。
(Nhip Cau Dau Tu Onilne 5月2日)