ベトナム自動車産業、課題は内地化率の向上

ベトナム自動車

ベトナム自動車産業の育成を始めて約20年。しかし、現在も内地化率は非常に低い状況が続く。世界との統合が進み、特にASEAN域内の関税が0%に下がった状況でベトナム企業は、競争力を高めるために、内地化率向上に真剣に取り組む必要に迫られている。

■内地化率の目標、極めて低い結果

商工業省によると、9人乗りまでの乗用車の内地化目標は2002年に40%、2010年には60%という設定だった。しかし、現時点で7~10%にとどまる。

平均より高い内地化率を達成した企業もあるが、他国と比較すると低い水準だ。

Truong Hai自動車(Thaco)の乗用車の内地化率は15~18%、Toyota Motor Vietnam社で37%。地域平均は55~60%、タイは80%に達している。

それだけでなくベトナム企業の生産する製品は、タイヤやチューブ、シート、ミラー、ガラス、電線、バッテリー、プラスチック部品など技術力の低いものがほとんどで、合金鋼やアルミ合金、プラスチック樹脂、ゴムなど部品生産に用いる主原料も80~90%を輸入に頼っており、毎年各社は自動車の生産・組立・修理用の部品の輸入に20億~35億ドルを費やしている。

この問題についてToyota Motor Vietnam社の木下徹社長は、「最初は大きな困難がありました。内地化率を高めたくても自動車市場は非常に小さく年間販売数千台、そこに10メーカーが20ブランドで参入しました」と話す。

「内地化率を上げるために弊社は日本の部品メーカーにベトナム進出を説得しました。トヨタが直面している最大の課題は、内地化したくても市場規模が小さいため生産コストが割高になり、地域諸国との価格差が非常に大きいことです。特に2018年はじめから、ASEAN諸国からベトナムに入る製品は関税が0%に引き下げられました」と続けた。

商工業分野の幹部もベトナムの自動車市場がまだまだ小さいことを認める。ベトナムは、ASEANの自動車産業で下から5位、タイの自動車市場規模の10分の1、インドネシアの14分の1に過ぎない。

ThacoのPham Van Tai社長も、内地化は依然として自動車メーカーにとって深刻な課題だという。

各社は技術力と生産量を必要としているが、ベトナム自動車市場は小さい。企業は内地化率を上げなければ技術は獲得できず、生産原価を下げられず、商品の競争力を上げられない。

■ASEAN諸国との競争を勝ち抜くために

ASEAN諸国の自動車輸入税率0%適用を受けるには、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)に基づき内地化率を40%以上に高めなければならない。

木下氏によると、内地化率向上は、長期的な発展を方針とするToyota Motor Vietnam社にとっての最優先事項だ。

現在同社はベトナムで活動する外資企業で最も高い内地化率を誇り、Viosに関しては前モデルで51種類だった国内生産部品数を、現モデルでは151種類と3倍に拡大している。現在、33のサプライヤーから400製品あまりの供給を受けており、うちベトナムのサプライヤーが5社ある。

内地率向上とグローバルバリューチェーンへの参加を非常に早くから目標としていたThacoは、自動車の組立工場だけでなく、Chu Lai-Truong Hai機械・自動車コンプレックスに裾野産業工場群を整備、ここを地域級の自動車・機械・裾野産業センター化している。

現在この複合施設には5つの自動車組立工場と15の自動車・機械部品の生産工場があり、欧州、日本、韓国のパートナーから移転された現代的な設備・ラインを導入している。既存工場のグレードアップのみならず、トラック生産工場や、東南アジアで最も現代的なマツダの乗用車生産工場の建設も行っている。

Thacoの生産ラインは完全オートメーション、製品は日本のマツダの品質基準をクリアしている。プラスチック部品やトラック用のエアコン工場、マフラー等の生産工場も展開して内地化率を高める投資を行っている。

また、国際水準の商品を作り出すために中小企業の生産シフトを支援したり、コンプレックスへの投資や合弁、連携の呼びかけも行っている。

投資を始めたばかりで実績がまだないVingroupの子会社VinFastも、内地化問題に取り組むことを宣言している。ハイフォンの生産コンプレックスにはボディーの生産工場があり、プレスと溶接はほぼすべて内地化できている。

経済発展とニーズの高まりにより、ベトナムの自動車市場は今後大きな飛躍が期待されている。商工業分門の予想では、2020年までにベトナムの1人あたり平均所得は約3,000ドルに達し、自動車ニーズが大きく伸びる時期に入ると見られている。

2025年までに自動車販売台数は年間60万台に達する予想で、国内自動車産業が市場ニーズに応えられたなら2025年には、自動車関連分野で輸入額を30億~70億ドル削減でき、貿易バランス改善に貢献することにもつながる。

(Doanh Nhan Sai Gon 3月6~12日,P.34~35)