ベトナムECサイト市場で激化するユーザー獲得競争

ベトナムECサイト

現代の消費者たちは、スマートフォンだけで基本的な日常生活を送ることができる。こうしたユーザーたちをターゲット層とする新たなサービスが、顧客争奪戦を繰り広げている。

■スマートフォンに頼り切った生活

ハノイ市のTran Dang Ninh通りに住む事務職員Tienさん(26)は、毎日、エレベーターを使わずに階段を登るようにしている。一日の中で唯一体を動かす時間だからだ。

食品配達アプリNowを使って食事を注文し、配車アプリGrabでバイクを呼び通勤し、使用人アプリJupviec.vnを依頼する。また、出張サービスを使って洗濯をし、オンライン注文をするアプリを使って届いたコーヒーを飲むなど、意識しなければ、体を動かすことはほぼない。

このTienさんの日常生活を送るには、300万ドン(約1万5,000円)未満のスマートフォン1台で可能だ。

「スマートフォンがなければ、どう1日を過ごせばいいか想像できません。日常生活の大部分がスマートフォンで成り立っています」とTienさんは話す。

■多額の損失も顧客獲得を狙う

こうしたスマートフォンに頼った日常を送る“怠け者”ユーザーをターゲットにしたサービスの1つが、電子商取引(ECサイト)だ。

Tikiは、2010年に書籍のオンライン販売を目的に生まれたが、現在は、4,500ドン(約22円)の新鮮なパン粉から、2億ドン(約100万円)のVespaのバイクに至るまで、あらゆる商品を販売する総合サイトに成長した。しかも、たった1つでも商品を注文できるため、ユーザーは実店舗に足を運ぶ必要がない。 

多くの企業が参入し、ECサイト市場は日増しに拡大している。この業界の企業は、数千億ドン(約数億~数十億円)の損失を出しても、あまり大きな関心を示さない。多額の損失を出したとしても、それと引き換えに非常に多くの顧客を獲得することを狙っているからだ。

Tikiは、大きな営業利益を上げているにもかかわらず、2017年末までに、約6,000億ドン(約30億円)の累積赤字を計上している。

Lazada、Shopee、Sendoのように、他の多くの大企業も同様だ。最大損失は、2016年末のLazadaの2兆7,430億ドン(約137億1,500万円)だ。2016年に新たに市場に参入したShopeeは、すでに1,600億ドン(約8億円)の損失を出していると報じられた。しかし、2017年には損失はさらに膨らみ、6,000億ドン(約30億円)以上となった。

EQVNのCEOは「ベトナムのECサイトの競争は、利益の獲得にとどまらず、ブランドの認知を高め、ブランド価値を上げるために、どこまで赤字に耐えられるかを考える傾向にあります」と現状を話した。

KPMGのベトナムを含む51か国1万8,000人の調査によると、34%の人々が遅配を懸念し、オンラインよりも実店舗での直接購入を選ぶと答えている。消費者の忍耐強さがますます減り、利便性への欲求が最大限に達したとき、配達時間の競争はますます激化するだろう。

DHLは、1日以内に商品を配達すると宣言し、Lazadaは高速サービスを開始した。Tiki Nowは2時間以内に商品を配達するサービスを展開し、スタートアップ企業のShip60は、60分以内に商品を届けることを約束している。

■ジャンル超え競い合うオンラインサービス

GoogleとTemasekのレポートによると、東南アジアにおけるオンライン注文によるデリバリーの市場規模は、80億ドルの価値があり、年平均39%の成長を遂げている。

ベトナムは過去3年間で、インドネシアに次ぐ成長率を記録した。2025年には、配車市場は20億ドルの水準まで達すると予想されている。Grab、GoViet、Fastgoが5億ドルのオンライン配車サービスを競い合う一方、Delivery NowやVietnammmのようなライバル企業と、4,000万ドルに近い規模の食品デリバリー市場の分野でも競合している。

後発企業にも関わらず、新しく出現した企業は、この市場の勢いに乗り、日々成長している。アプリで商品を注文したユーザーは、プロモーションが気に入らないというだけで、明日には違うアプリに変更することもありうる。こうしたユーザー離れは決して珍しいことではない。

Grab Viet NamのJerry Lim社長は、ハノイ市で1か月間GrabFoodを試験導入した後、協力パートナーの数が8倍に増加したことを認めた。一方、FoodyのDelivery Nowは、注文が殺到するピーク時は常に、手が回らない状態に陥っている。

(VN Express 12月9日)