ベトナムが世界の工場になるチャンス

ベトナムが世界の工場になるチャンス

アジアの経済専門家たちは、地域内における各企業の生産拠点のシフトから長期的な恩恵を受けるためにも、ベトナムは環境問題、社会問題、ガバナンス問題に集中する必要があると述べ、さらに引き続き海外投資誘致を進めていくべきだと強調した。

■世界の工場になり得るベトナムの潜在力

Maybank銀行(マレーシア)主催により、シンガポールで開催されたアジア投資会議2019で、専門家や投資家たちはベトナムは新しい世界の工場になる可能性を秘めていると強調し、特に米中貿易戦争が複雑さを増し、長期化する可能性がある中で、その役割は非常に大きいと評価している。

Maybankの最近の研究では、少なくとも20%の企業が中国からベトナムに生産拠点をシフトしており、2019年第1四半期のベトナムへの海外直接投資(FDI)は前年同期比で86%増加し、それらは主に生産分野に集中している。

ASEAN各国と比べると、ベトナムには若く豊富な人口と、比較的安価な人件費、改善されたインフラ、そして地理的な優位性という強みがある。

しかし、専門家によると、ベトナム企業が力強く成長することに注力すれば、ベトナムはこうした強みを生かして長期的に利益をあげることができるという。これは、ベトナム国内企業が世界のサプライチェーンに参入し、海外の質の高い投資を誘致し、世界の消費者を抱え込む、またとないチャンスだと考えられる。

香港のSCMOコンサルタンツのNicolas de Loisy社長は「多くの生産企業が中国を脱出している状況を見ると、ベトナムが世界の工場になる潜在力を秘めているというのは否定できません。重要なことは、こうした強みを長期的に生かすことです。生産部門に頼って力強い経済成長を遂げたにも関わらず、中国は環境破壊でその大きな代償を払うことになりました。ベトナムはそうした経験から学ぶ必要があります」と述べた。

世界銀行の資料によると、毎年100万人の中国人が、環境汚染が原因の病気で亡くなっている。

Nicolas社長と同様に、Jupiter Impact PartnersのMelissa Kang社長は、ベトナム企業は国内の消費者から持続的な発展を求める要望にも応えなければならないと述べた。

Melissa社長は、汚染食品問題や水源汚染問題など、ここ最近の環境関連のスキャンダルは、多くのベトナム人消費者のベトナム製品に対する信頼を失墜させました。Oxfam社が2019年3月に公表した報告によると、環境保護指標など、企業がビジネスモラルの面で違反を犯した場合、81%に上るベトナム人消費者がその企業の製品をボイコットする準備があることが解っている。

■ESG指標による投資

「Asia投資会議2019」で、投資家たちは、ベトナム企業が力強い発展を進める中で、ファイナンス部門の役割の重要性を強調した。投資家をはじめ、銀行などの金融機関、管理機関など様々な方面からの努力が必要であり、もしこの部門での改善・発展がなければ、海外の投資誘致は難しく、株式市場にもマイナスの影響を与えると考えられている。

Panarchy Partners社のMunib Madni社長は「企業と面会するとき、私たちは企業が準備した綺麗に整えられた報告書の内容には期待していません。私たちが見ているのは、企業の代表に会い、経営陣が目標に基づいて、会社の発展に力を注いでいるのかどうかを確認します。強く持続可能な発展は、まず社長自らが始める必要があります」と強調した。

Munib社長は、現在、世界で進められている大規模プロジェクトでは、投資の検討をする際に、環境問題、社会問題、そしてガバナンス問題(ESG)に関する指標が取り入れられることが増えていると述べた。

Maybank Kim Eng銀行のRajiv Vijendran社長は、上場している多くのベトナム企業は国際的なESG基準を満たせておらず、海外投資誘致の際にそれが問題を引き起こしていると指摘している。これは、比較的新しい市場で共通している問題だという。

同社長は「持続可能な投資は世界、そしてベトナム企業が求めていることであり、海外投資を誘致する上で、これを外すことはできません」と強調した。

投資ファンドのDragon Capital社の社長は、これまで投資誘致に成功しなかった大部分は、環境、社会、ガバナンス問題によるもので、企業の業績が理由ではないと述べた。こうしたこともあり、同社は、ESG投資の原則を作り、その基準を満たしていない企業へは投資していないという。

もう一つの投資ファンドであるVietnam Holdingも、ESGを企業評価の重要な要素に位置付けている。同ファンドのESG指標には36項目あり、主に企業が1年ごとに進歩しているかという点に注目している。同様に、ベトナムで活動する海外ファンドも、世界の大投資家や機関から投資を受けるためにESG指標を取り入れている。

Melissa Kang社長は、新しい企業と若い経営者は、上場企業に比べてESG指標へのアプローチが進んでいると述べた。同氏は、ベトナムは中小企業、スタートアップ企業などに持続可能な発展指標として、ビジネス発展戦略の中にESG指標を取り入れることが望ましいと提案した。

(Dau Tu 5月13日,P.4)