ヨーロッパの小売大手各社がベトナムから撤退した理由

ヨーロッパの小売大手各社がベトナムから撤退した理由

激しい競争についていくことができず、Metro、Parkson、Auchanなどヨーロッパ小売大手企業が相次いでベトナムから撤退している。

ベトナム小売市場では、消費者の購買力が拡大していると評価されているにも関わらず、ヨーロッパの大手小売企業が相次いでベトナム市場から撤退する理由を追った。

■ドイツ、フランスの大手が相次いで撤退

Auchan RetailのEdgard Bonte社長は、5年近く営業を続けてきた18店舗を他の小売企業に譲渡することを決定した。同社長は、5年間にわたるベトナム市場での活動を通して、昨年得られた収益は4,500万ユーロ(5,040万ドル)で、赤字が続いていることを明かした。

Auchan Viet Namの広報部門のVu Thi Kim Nuong部長は、同社がベトナムを撤退する理由を、利益が目標に届かず、赤字が続いたためと説明した。

Edgard社長は、現在、同社が有するスーパーの譲渡を進めるために、現地小売企業と交渉を進めているところだと述べた。

ベトナムから撤退した外資系の大手小売企業はAuchanだけではない。

以前、フランスのCasino Groupが経営していたBig Cは10億5,000万ドルで、タイの大富豪Chirathivat氏が所有するCentral Groupに売却されている。

また、ドイツのMetroグループはタイのTCCグループに6億5,000万ユーロで、全てのスーパー及び関連する不動産を譲渡している。譲渡前、Metroグループは、ベトナムの14省・都市に19のショッピングセンター、倉庫、約3,600人の従業員を有していた。

タイ企業に譲渡されてから、MetroはMega Market VNに名前を変えて、現在も活動を続けている。

■欧米系が苦戦、アジア系は健闘

小売業の専門コンサルタントのDao Xuan Khuong氏は、ヨーロッパ系の小売企業がベトナムを撤退しなければならなくなったのには、いくつかの理由があると述べた。

例えば、Auchanは主にマンションやアパートの一角でスーパーを展開していた。こうした立地選択は、ブランドの知名度を上げるには限界があり、利用者の多くもそのマンションやアパートの居住者に限られてしまう。

またAuchanは、いわゆるスーパーマーケットだったことで、周辺住民には重宝されたが、週末などに遠方から来る客を呼び込むことができなかった。

もう一つの理由として、Auchanは他のスーパーが展開しているような客を呼び込む戦略が不十分で、結果的に店は閑散としており、計画通りの収益を上げることができなかった。

Khuong氏は、「総合的に見て、Auchanのビジネスモデルは失敗だったと言えます。スーパーを開店するための、土地、倉庫などにかかる費用は莫大で、それを回収する目処が立たなくなったために撤退すると理解しています」とAuchanの撤退理由を分析した。

ブランド専門家のVo Van Quang氏は、AuchanはCo.opmart、Big C、Lotteなど他の小売大手との競争の中で、確固たる地位を築けなかったと分析している。

同氏は「つまり、Auchanはフランスでは有名な大手小売企業ですが、アジア地域で大きな勢力を誇る日本のAeonやFamily Mart、韓国のLotte Martなどとの競争で、その姿が霞んでしまったのだと考えています」と述べた。

■買い物と娯楽の融合、新しい形態のスーパー

ほとんどの専門家は、熾烈な競争が繰り広げられる大衆向けのスーパーマーケット市場は、この先ヨーロッパ系の小売企業が進出することは難しいだろうという意見で一致している。

しかし、世界的にスーパーマーケット市場で大きなシェアを占めているのは欧米企業であることに変わりはない。しかし、ベトナムの大衆向け市場においては、ドイツやフランスに比べると、日本・タイ・韓国などの、ベトナムに距離が近い国の企業の方が、ベトナムの消費者動向を正確に掴み、チャンスを得やすいということだろう。

「ベトナムの小売市場は、これまで使われていた伝統的な手法、例えば、インテリア、建設機械、自動車部品などの専門販売チェーンが使う手法とは異なる形で発展していくと考えています」とQuang氏は述べた。

一方、Khuong氏は、コンビニや生鮮専門店など、小規模販売店は今後大きく発展してくる分野だと見込んでいる。Bach hoa XANHのビジネスモデルが良い例である。

しかし、どのようなモデルであっても、スーパーマーケットは急速な成長を遂げる電子商取引の分野で熾烈な競争を繰り広げることになる。

つまり、持続発展のために、スーパーは常に刷新を図り、ベトナム人消費者の文化に基づいた他店との差別化を進める必要がある。買い物と娯楽を融合したような、ベトナム人消費者が好むビジネスモデルが普及していくだろう。

(Phap luat 5月22日)