収入の割に高過ぎるベトナム・ホーチミン市の住宅価格

ベトナム住宅価格

ホーチミン市の住宅価格は、世界の主要都市と比較すると最も安い水準にあるが、市民の平均収入と比較するとあまりにも高い。

■ベトナムの場合、住宅の購入に43年も

Truong Phat不動産会社のTran Van Dung社長によると、ホーチミン市の1人当たりの年間平均所得である8,000ドルと比べ、クアラルンプールでの年収は2万7,000ドルであり、ホーチミン市の3倍以上になるという。

CBREの報告では、ホーチミン市の住宅価格は1軒あたり10万3,100ドル(24億ドン:約1,200万円相当)で、ホーチミン市の市民の13年分の年収にあたるが、クアラルンプールでは、わずか4年分相当だという。

収入から、住居・食事、医療費、交通費などの各費用を除くと、可処分所得は30%しか残らず、住宅価格が上がらないという条件の下でも、ホーチミン市の市民がマンションを購入するには43年間かかると試算されている。

Dung社長は、「世界の都市と比べるとホーチミン市の住宅価格が最も安いとは言っても、住む家を購入するには何十年もかかり、一生涯をかけなければならないこともあります」と話す。

Huynh Phuoc Nghia博士はさらに、報告ではホーチミン市での住宅価格はASEAN諸国の一部の都市より低いが、1人当たりの収入も遥かに低いと話す。つまりGDPをベースに考えると、ベトナムの住宅価格はすでにかなり高い水準にある。

ホーチミン市の住宅価格は、今後も上昇はするが、下落することはないと考えるべきだろう。そのため、住宅価格のバランスを取るためには、市民の収入を増やすか、政府が金融面での支援をするしかない。

■低価格住宅の開発に無関心なベトナム不動産業界

Dat Lanh不動産社のNguyen Van Duc副社長によると、Dat Lanh社、Nam Long社、Le Thanh社、Khang Gia社やその他多くの企業は10年前、低価格の住宅開発にも重点を置いていたが、今はもうそうした企業はないという。

数年前、不動産取引では、Hung Thinh社、Dat Xanh社、Phuc Khang社などが、低価格の住宅開発に取り組むとしていたが、現在はこれら大手企業も、低価格の住宅開発を手掛けることに消極的だ。

不動産業界が低価格の住宅開発に関心を示さなくなった原因は、利益が低いためだ。もしも金融政策が変わったり、物価や市場に問題が起きれば、企業は赤字になり倒産する危険性がある。

実際、過去3~4年に安価な住宅プロジェクトは不動産市場から姿を消し、庶民的な住宅も殆どなくなった。加えてここ数年で、住宅売り出し価格が上昇し、以前であれば、1平方メートル当たり3,000万ドン(約15万円)だった高級マンションの価格は、今では2倍以上に上昇している。

ある企業の社長は、低価格の住宅開発について、「建設許可書を取得した後に、低価格の住宅を販売するのはバカげています」と素直な意見を話す。

理由は、法的手続きにおいて、低所得者向け住宅も高級マンションも申請は同様に大変なためだ。低価格住宅販売では利益が非常に薄い中、防火対策から手続きなどは、全て同じように行う必要がある。

■低所得者が住宅を持てるように

Duc副社長は、「明らかに低価格住宅を手掛ける企業は少なくなり、今では誰もやりません。毎年需要は数万件になるため、政府はどうにかして低価格住宅の供給を維持するための戦略や方法を真剣に考えるべきです」と話す。

また、「低所得者が住居を得られるよう、BecamexグループによるBinh Duong省の住宅モデルや、Tran AnhグループのLong An省の低価格住宅に見学に行き、そこから学ぶべきです」と提案する。

多くの専門家によると、政府は以前、企業の建設支援や、住居に関して困難を抱える庶民への支援、社会住宅を購入する貧しい市民への融資に30兆ドン(約1,500億円)のパッケージを用意していたため、一部の企業は低価格住宅に関心を持っていた。

しかし、現在この信用パッケージは終了したことから、このプログラムに参加する企業はない。貧しい人々が住宅を持つことを支援するため、以前のようなマンションを建設する企業への別の融資パッケージ、もしくは支援政策を講じることは急務と言えるだろう。

(Thanh Nien 4月16日,P.2)